『尊卑分脈』の使い方

 

  歴史業界人には常識じゃが、『尊卑分脈』(そんぴぶんみゃく)という本がある。

  洞院公定(とういんきんさだ 1340〜1399 60歳)つー南北朝時代の貴族の人がセッセと作り、公定の子孫の洞院家が代々、セッセと増補した一大系図集である。

  系図集は数々あれど、これが一番信頼度が高いとされておる(それでも、間違いはありますよ、もちろん)。

  刊本は、吉川弘文館の新訂増補国史大系に入っておる。

  1巻:藤原氏(摂関家とかのエライ方)

  2巻:藤原氏(下っ端)

  3巻:源氏(清和源氏だけじゃないよ)

  4巻:平氏(桓武平氏だけじゃないよ)・その他

  索引

 の計5巻。B5サイズで、デカいので、見やすいんだけど、家にあると置く場所に困る。

 

  で、これの使い方つーか調べ方なんであるが、わしなんざ、もう20何年も使ってますから、いい加減慣れましたが、めんどくさいのよね。

  苗字と名前がわかってりゃ、アタリを付けて、目次(苗字が並んでます)見て、ペラペラめくれば、だいたい見付かりますが、名前しかわからんと、索引引かねばならぬ。これが、うざい。

  索引は、名前で引きます。

  んで、索引では、名前の漢字が音読みでアイウエオ順に並んでおります。

 

  具体的に説明した方がわかり良いので、北条義時を例にしますと、義時が桓武平氏の北条氏の人だとわかってりゃ、4巻の目次で「北条」を見て、17頁を開けば、義時おります。

  ですが、「義時」としかわからんで、どこの誰だか見当がつかんかったら、

  1:索引を手に取る。

  2:「義時」は音読みでは「ギジ」なので、索引をペラペラめくって「義」(ギ)のとこに行く。「義」が名前の上に付く人、うんざりするほど、たくさんいます。

  3:「義」の頁をまたペラペラめくって、今度は下の字「時」(ジ)をさがし、「義時」を見付ける。51頁に出てます。

  4:「義時」さん、藤原氏に1人、源氏に2人、平氏に1人、合計4人もいますが、マシな方です。名前によっちゃ、もっとウジャウジャいて、ムカつきますが、仕方がございません。

  5:索引を横に置いて、1巻から順番に見て行きます。各「義時」さんの情報(時代とか官職とか、いろいろ)を、調べたい「義時」さんと比較して、該当する「義時」さんを当てて行きます。

  6:4巻17頁においでになります。

  ま、こんな感じで、調べるわけよ。

  なお、索引の、義時なら義時の後に「―女子」というのがありますが、これは「義時さんの娘さん」という意味でして、こっちも見てみますと、別の情報が得られたりするのでござる。


(2008/12/04掲載)